エアーコンプレッサーの圧力単位はMPa(メガパスカル)が国際標準ですが、製品によってkgf/cm2・PSI・bar・atmなど異なる単位が使われています。単位の読み間違いは圧力の過不足につながり、工具の破損やタイヤのバーストなど重大なトラブルの原因になります。この記事では、各単位の変換表、よく使う値の早見表、圧力計の読み方を解説します。
圧力単位の基礎知識
エアーコンプレッサーで使われる圧力単位は主に5種類あります。それぞれの定義と使用場面は以下の通りです。
| 単位 | 読み方 | 定義 | 主な使用場面 |
|---|---|---|---|
| MPa | メガパスカル | SI国際単位。1MPa = 1,000,000 Pa | 日本国内のコンプレッサー・エアツール全般 |
| kgf/cm2 | キログラム毎平方センチメートル | 旧計量法の単位。1kgf/cm2 = 0.0981MPa | 旧型コンプレッサー、ベテラン整備士の現場 |
| PSI | ピーエスアイ(ポンド毎平方インチ) | ヤード・ポンド法。1PSI = 0.00689MPa | アメリカ製品、輸入コンプレッサー、タイヤ |
| bar | バール | CGS単位系。1bar = 0.1MPa | ヨーロッパ製品、自転車のタイヤ |
| atm | 気圧(アトム) | 標準大気圧基準。1atm = 0.1013MPa | 学術・教科書、一部の工業規格 |
日本で販売されるコンプレッサーの多くはMPa表記ですが、海外製品や古い機種ではPSIやkgf/cm2が使われています。購入前に圧力計の単位を確認してください。圧力の見方について基本から知りたい方は圧力MPaの見方と選び方もあわせてご覧ください。
圧力単位変換表(完全版)
以下の変換表で各単位間の換算ができます。小数点以下は実用上十分な桁数で丸めています。
| 変換元 | MPa | kgf/cm2 | PSI | bar | atm |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 MPa | 1 | 10.20 | 145.04 | 10 | 9.87 |
| 1 kgf/cm2 | 0.0981 | 1 | 14.22 | 0.981 | 0.968 |
| 1 PSI | 0.00689 | 0.0703 | 1 | 0.0689 | 0.0680 |
| 1 bar | 0.1 | 1.020 | 14.50 | 1 | 0.987 |
| 1 atm | 0.1013 | 1.033 | 14.70 | 1.013 | 1 |
よく使う値の早見表
エアーコンプレッサーの日常使用でよく登場する圧力値を一覧にしました。現場ですぐに換算できるようブックマークしておくと便利です。
| 用途・場面 | MPa | kgf/cm2 | PSI | bar |
|---|---|---|---|---|
| ネイル用エアブラシ | 0.1~0.3 | 1.0~3.1 | 14.5~43.5 | 1~3 |
| タイヤ空気入れ(乗用車) | 0.22~0.25 | 2.2~2.5 | 32~36 | 2.2~2.5 |
| 塗装ガン(HVLP) | 0.2~0.3 | 2.0~3.1 | 29~43.5 | 2~3 |
| エアダスター | 0.3~0.5 | 3.1~5.1 | 43.5~72.5 | 3~5 |
| インパクトレンチ | 0.6~0.7 | 6.1~7.1 | 87~101.5 | 6~7 |
| コンプレッサー最高圧力(一般) | 0.8~1.0 | 8.2~10.2 | 116~145 | 8~10 |
| ロードバイクタイヤ | 0.6~0.8 | 6.1~8.2 | 87~116 | 6~8 |
圧力計の読み方
コンプレッサーには通常2つの圧力計が付いています。それぞれの役割を理解しないと正しい圧力管理ができません。
- タンク圧力計:タンク内部の圧力を表示する。コンプレッサーが圧縮した空気の総量を示すもので、エアツールに供給される圧力とは異なる
- 吐出圧力計(レギュレーター圧力計):レギュレーターで調整された吐出圧力を表示する。エアツールに実際に供給される圧力を示すため、作業時はこちらの数値を見る
圧力計の目盛りが2重になっている場合、外側と内側でそれぞれ異なる単位(例:外側PSI・内側MPa)が表示されています。どちらの目盛りを読んでいるか必ず確認してください。
圧力単位の歴史と使い分けの背景
なぜこれほど多くの単位が混在しているのか、その歴史的背景を簡単に整理します。
- kgf/cm2:日本では1993年の計量法改正まで法定単位として使われていた。ベテラン技術者や旧型機器では今も使われている
- PSI:アメリカのヤード・ポンド法に基づく単位。アメリカ製工具・タイヤ・コンプレッサーに広く使用。日本でも輸入品に多い
- bar:ヨーロッパで広く使われるCGS系の単位。1bar=0.1MPaとMPaからの換算が簡単なため、実用上便利
- atm:大気圧を基準とした単位。工業分野より学術・教育分野で使われることが多い
- MPa:1993年以降、日本の法定単位はSI(国際単位系)のPa(パスカル)に統一。現在の日本製コンプレッサーはMPa表記が標準
簡易換算の覚え方
正確な換算は上記の変換表を使いますが、現場で概算する場合は以下の近似値が便利です。
- MPa → kgf/cm2:MPaの値を約10倍する(例:0.5MPa → 約5kgf/cm2)
- MPa → PSI:MPaの値を約145倍する(例:0.5MPa → 約72.5PSI)
- MPa → bar:MPaの値を10倍する(例:0.5MPa = 5bar)※正確に10倍
- kgf/cm2 → PSI:kgf/cm2の値を約14倍する(例:5kgf/cm2 → 約71PSI)
- bar → PSI:barの値を約14.5倍する(例:5bar → 約72.5PSI)
よくある質問
Q. 海外製コンプレッサーの圧力計がPSI表記です。日本のエアツールにそのまま使えますか?
使えます。圧力の物理的な値は単位に関係なく同じなので、上記の変換表を使ってPSIをMPaに換算し、エアツールの指定圧力に合わせてレギュレーターを調整してください。例えばエアツールの指定が0.6MPaであれば、PSI表記の圧力計で約87PSIに設定します。
Q. kgf/cm2とkPaは同じですか?
異なります。kgf/cm2は重力単位系、kPa(キロパスカル)はSI単位系です。1kgf/cm2 = 98.1kPa = 0.0981MPaです。タイヤの空気圧はkPa表記が多く(例:230kPa)、コンプレッサーはMPa表記が多い点に注意してください。230kPa = 0.23MPaです。
Q. 圧力計の精度はどの程度ですか?
一般的なコンプレッサー付属の圧力計は精度等級1.6(フルスケールの正負1.6%の誤差)です。例えば最大1.0MPaの圧力計であれば正負0.016MPaの誤差があります。より正確な圧力管理が必要な場合は、デジタル圧力計(精度正負0.5%以下)を別途用意してください。
まとめ
エアーコンプレッサーの圧力単位はMPaが日本の標準ですが、kgf/cm2・PSI・bar・atmも製品や環境によって使われています。MPaとbarは10倍の関係、MPaとkgf/cm2もほぼ10倍の関係にあるため換算が容易です。圧力計を読む際はタンク圧力と吐出圧力の違いを理解し、作業時は必ず吐出側の数値を確認してください。
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執筆:エアセルフ(air-compressor.jp)|エアーコンプレッサー専門店
