エアーコンプレッサーは溶接そのものの動力源ではありませんが、プラズマ切断機のエア供給源として、また溶接前後のエアーツール作業で不可欠な存在です。プラズマ切断には圧力0.4MPa以上・吐出量150L/min以上・タンク50L以上が必要です。この記事では、溶接・切断の現場でエアーコンプレッサーが使われる場面と必要スペックを解説します。
エアーコンプレッサーが溶接・切断に使われる場面
エアーコンプレッサーは溶接の電源ではありませんが、金属加工の現場では以下の場面で圧縮空気が必要になります。
プラズマ切断のエア供給
プラズマ切断機は、電気アークで高温プラズマを発生させ、圧縮空気でその高温ガスを噴射して金属を溶かし切断する機械です。この「圧縮空気の供給」がエアーコンプレッサーの役割です。
- エアーがなければプラズマ切断機は動かない
- 安定したエア供給がないと切断面が荒れる
- エアー中の水分が多いとトーチの寿命が短くなる
溶接前の下地処理
- サンドブラスト:溶接部のサビ・塗装・スケールを除去して溶接品質を高める
- エアグラインダー:溶接部の面取り・開先加工に使用
- エアダスター:溶接箇所の粉塵・切りくずを吹き飛ばす
溶接後の仕上げ作業
- エアグラインダー:溶接ビードの研磨・仕上げ
- スプレーガン:溶接後の防錆塗装・仕上げ塗装
- エアダスター:研磨粉の除去・清掃
つまり、溶接の「前処理」「切断」「後処理」の全工程でエアーコンプレッサーが活躍します。
プラズマ切断に必要なエアーコンプレッサーのスペック
プラズマ切断機のスペックに合ったコンプレッサーを選ぶ必要があります。切断機の出力(アンペア数)によって必要なエア量が変わります。
| プラズマ切断機の出力 | 切断可能厚み | 必要圧力 | 必要吐出量 | 推奨タンク容量 |
|---|---|---|---|---|
| 20~30A(小型・DIY) | ~6mm | 0.3~0.4MPa | 80~120L/min | 30L以上 |
| 40~60A(中型) | ~12mm | 0.4~0.5MPa | 120~180L/min | 50L以上 |
| 80~100A(大型・業務用) | ~25mm | 0.5~0.6MPa | 180~300L/min | 80L以上 |
DIYで薄い鉄板(3~6mm)を切るだけなら30Lクラスでも対応できますが、12mm以上の鋼板を連続切断するには50L以上・吐出量150L/min以上が必要です。
プラズマ切断でエアーコンプレッサーを使う際の注意点
エアー中の水分を除去する
プラズマ切断の品質に最も影響するのがエアーの水分です。圧縮空気には必ず水分が含まれており、これがトーチ内部に入ると以下の問題が発生します。
- 切断面の品質低下(荒れ・ドロスの付着)
- 電極とノズルの異常消耗(寿命が半分以下に)
- アークの不安定化(切断が途切れる)
対策として、コンプレッサーとプラズマ切断機の間にエアドライヤーまたはエアフィルター(ウォーターセパレーター)を設置してください。最低でもドレンフィルター付きのレギュレーターを入れることをおすすめします。
オイルレスコンプレッサーを推奨
オイル式コンプレッサーを使うと、圧縮空気にオイルミストが含まれます。このオイルがプラズマ切断機のトーチ内部に入ると、電極の劣化を早めるだけでなく、引火のリスクもあります。プラズマ切断用のエア供給にはオイルレスコンプレッサーが最適です。やむを得ずオイル式を使う場合は、オイルミストフィルターを必ず追加してください。
安定した圧力供給を確保する
プラズマ切断中にエアーの圧力が下がると、切断が途切れたり切断面が荒れたりします。以下のポイントを確認してください。
- 切断中にコンプレッサーが頻繁にON/OFFを繰り返さないタンク容量を選ぶ
- レギュレーター(圧力調整器)でプラズマ切断機の要求圧力に合わせる
- エアホースは内径8.5mm以上を使い、圧力損失を最小限にする
溶接現場で使われるエアーツール一覧
| エアーツール | 用途 | 必要吐出量 |
|---|---|---|
| プラズマ切断機 | 金属板の切断 | 80~300L/min |
| エアグラインダー | 溶接ビード研磨、開先加工 | 100~200L/min |
| サンドブラスター | サビ除去、下地処理 | 150~300L/min |
| スプレーガン | 防錆塗装、仕上げ塗装 | 100~200L/min |
| エアダスター | 粉塵除去、清掃 | 30~50L/min |
| インパクトレンチ | ボルト締結、組立 | 100~150L/min |
複数のエアーツールを使う溶接現場では、最も吐出量を消費するツールに合わせたコンプレッサーを選んでください。
よくある質問(FAQ)
Q. エアーコンプレッサーだけで溶接はできますか?
エアーコンプレッサー単体では溶接はできません。溶接には溶接機(アーク溶接機、TIG溶接機、MIG/MAG溶接機など)が必要です。エアーコンプレッサーの役割は、プラズマ切断機へのエア供給と、溶接前後のエアーツール作業(研磨、ブラスト、塗装、清掃)です。
Q. DIYでプラズマ切断をするには何が必要ですか?
最低限必要な機材は、プラズマ切断機(100V・20~30Aクラス)、エアーコンプレッサー(30L以上・吐出量100L/min以上)、エアホース(内径6.5mm以上)、そして安全装備(溶接面、革手袋、長袖作業着、安全靴)です。費用はプラズマ切断機3~5万円+コンプレッサー3~5万円で、合計10万円前後から始められます。
Q. ガス溶接(アセチレン溶接)にもエアーコンプレッサーは使いますか?
ガス溶接自体にはエアーコンプレッサーは使いません。ガス溶接はアセチレンガスと酸素の混合燃焼で金属を加熱するため、圧縮空気は不要です。ただしガス溶接の前後工程(サビ取り、研磨、塗装)でエアーツールを使う場面では、エアーコンプレッサーが必要になります。
まとめ
エアーコンプレッサーは溶接・切断の現場でプラズマ切断のエア供給源として、また前後工程のエアーツール使用に不可欠です。プラズマ切断には圧力0.4MPa以上・吐出量150L/min以上が目安で、エアー中の水分除去とオイルレスコンプレッサーの選択が切断品質を左右します。溶接現場に合ったコンプレッサー選びはエアセルフにご相談ください。
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執筆:エアセルフ|エアーコンプレッサー専門店(販売実績3,000台以上)
