ダイビングのタンクに普通のコンプレッサーで空気を入れられる?|できない理由(圧力・呼吸用の空気・高圧ガス保安法)
この記事の結論
- 結論
- 一般のエアーコンプレッサーではダイビングのタンクに空気を入れられない。一般機の最高圧力は0.8〜1MPa前後で、小型のスキューバタンクでも最大20MPa程度と、桁が違う
- 一般のコンプレッサーの空気は呼吸用ではない。メーカーの取扱説明書には「呼吸器系の機器など、生命にかかわる用途には使用できません」と明記されているものがある
- 1MPa以上の圧縮ガスは高圧ガス保安法の高圧ガスで、容器への充てんも「製造」にあたる。刻印・容器再検査・届出などの決まりがあり、刻印のない海外製タンクを使うのは法令違反と経済産業省が注意喚起している
- 誰のためのページか
- スキューバダイビングのタンクに、自分のエアーコンプレッサーで空気を入れられないか考えている人
- このページの目的
- 一般のエアーコンプレッサーでダイビングのタンクに充てんできない理由を、圧力・空気の品質・法律の面から確かめ、安全な方法を選べるようにすること
- 書き手の立場
- 元エアコンプレッサーの開発・プロデュースに携わっていた運営者が、その専門知見をもとに、特定メーカーに偏らない事実重視のメディアの立場で執筆・監修しています。 運営者情報
- 情報の出どころ
- 価格・評価は楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングの公式APIから取得し自動更新。スペックはメーカー公表値と販売ページの表記をもとに整理。最終更新 2026/11/07
自分のエアーコンプレッサーで、スキューバダイビングのタンクに空気を入れられないか、という相談は、販売の現場でも受けることがあります。結論から言うと、一般のエアーコンプレッサーではできませんし、やってはいけません。この記事では、その理由を、法令とメーカーの資料をもとに説明します。
結論
- 圧力が桁違い:一般のコンプレッサーは最高0.8〜1MPa前後、小型のスキューバタンクでも最大20MPa程度です
- 空気が呼吸用ではない:一般のコンプレッサーは呼吸用に使えないと、取扱説明書に明記しているメーカーがあります
- 法律の決まりがある:タンクへの充てんは高圧ガス保安法の「製造」にあたり、容器の刻印・再検査・届出などの決まりがあります
理由1:圧力が足りない
| 機器 | 圧力 |
|---|---|
| 一般的なエアーコンプレッサー(日立 0.75LE-8SB) | 最高0.8MPa |
| 高圧型のエアーコンプレッサー(明治機械 SIRE BLACK) | タンク内最高4.2MPa、取り出せる圧力は高圧用で約2.5MPa |
| 小型のスキューバタンク(0.5〜1L程度) | 最大20MPa程度(経済産業省の注意喚起) |
| ダイビング用の高圧コンプレッサー(BAUER) | 300bar(約30MPa)時の処理量で仕様を表示 |
出典:日立産機システム、明治機械製作所 取扱説明書、経済産業省の注意喚起(川崎市掲載)、BAUER カタログ。高圧型のコンプレッサーでも、取り出せる圧力(約2.5MPa)は、タンクに必要な圧力の8分の1ほどです。ダイビングのタンクには、BAUERのような多段圧縮と空気のろ過装置を持つ専用の高圧コンプレッサーが使われています。
理由2:呼吸用の空気ではない
ダイビングでは、タンクの空気を直接吸います。明治機械製作所の取扱説明書(SIRE BLACK)は、「呼吸器系の機器など、生命にかかわる用途には使用できません」と明記しています。一般のコンプレッサーの空気には、油や水分、ほこりが混ざることがあり、呼吸用の基準を満たすように作られていません。呼吸用の空気の品質は、専用の機器と管理で確保するものです。
理由3:高圧ガス保安法の決まり
- 高圧ガスにあたる:常用の温度で1MPa以上になる圧縮ガスは、高圧ガス保安法の「高圧ガス」です(第2条)
- 充てんは「製造」:高圧ガスの製造には、容器に充てんすることが含まれます(第5条)。規模に応じて、都道府県知事の許可や届出が必要です
- 充てんできる容器の条件:刻印があること、検査に合格したバルブが付いていること、期間を過ぎた容器は容器再検査に合格していることなどが条件です(第48条)
- 容器再検査の期間:アルミニウム合金製スクーバ用継目なし容器は1年1月ごとです(容器保安規則 第24条)
経済産業省は2020年に、小型スキューバタンクについて、検査に合格し刻印されたタンクと附属品を使うこと、一定の圧力を超えて充てんする場合は都道府県等への届出と技術基準の遵守が必要なこと、刻印のない海外製タンクを使うのは法令違反で、漏れや爆発の危険が高いことを注意喚起しています。個人で充てんする場合の細かい扱いは、お住まいの都道府県の高圧ガスの担当窓口に確かめてください。
安全な方法
ダイビングのタンクへの充てんは、ダイビングショップや充てん所に頼むのが安全です。PADIは、タンクの毎年の目視検査を勧めています。家庭や作業用のエアーコンプレッサーは、タイヤの空気入れや浮き輪・ボールの空気入れ、器材の水滴飛ばしなどに使ってください。
まとめ
一般のエアーコンプレッサーでは、ダイビングのタンクに空気を入れられません。最高圧力が0.8〜1MPa前後で、小型タンクでも必要な20MPa程度に届かず、空気も呼吸用ではありません。さらに、タンクへの充てんは高圧ガス保安法の「製造」にあたり、容器の刻印や再検査、届出などの決まりがあります。充てんはダイビングショップや充てん所に任せてください。
ほかの作業・機械に必要なコンプレッサーは、作業・機械別 コンプレッサーの選び方にまとめています。
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よくある質問
家庭用のコンプレッサーでダイビングのタンクに空気を入れられますか?
入れられません。一般のコンプレッサーの最高圧力は0.8〜1MPa前後で、小型のスキューバタンクでも最大20MPa程度が必要です。空気も呼吸用ではありません。
高圧型のコンプレッサーなら入れられますか?
入れられません。高圧型(明治機械 SIRE BLACK)でも、取り出せる圧力は高圧用で約2.5MPaです。また、メーカーは呼吸器系など生命にかかわる用途には使えないと明記しています。
タンクに自分で充てんするのは法律上問題がありますか?
1MPa以上の圧縮ガスは高圧ガス保安法の高圧ガスで、容器への充てんは「製造」にあたります。容器の刻印・容器再検査・届出などの決まりがあり、刻印のない海外製タンクを使うのは法令違反と経済産業省が注意喚起しています。細かい扱いは都道府県の担当窓口に確かめてください。